初夏の共宴 〜紫陽花の頃と屋台〜
オニギリ 2024年6月13日
曇り空に会心の差し上げ
1.初夏の吉報
手紙の冒頭の挨拶が残春から初夏に変わる頃、屋台運行の嬉しい知らせが舞い込んでくる。
紫陽花の花と吉原三本松さんの屋台蔵が重なって見えるお社の近く。
雨の予報など吹き飛ばすかのように人々が集まってくる。
曇り空に、なお高らかに響く太鼓と鉦の音が、夏を連れてやってきた!
2.祭人の背中
太鼓と鉦の4拍子とともに踏み出す一歩。
知らず知らずのうちに、伊勢音頭と歩調が合っている。
湿度89%の熱気に覆われる街並みの中。
決して短くはない道中、肩だけで屋台を担ぎ通す。
「やり切ったぞ!」と語る誇らしげな後ろ姿。
一面の源氏車で彩られた法被を、夏の気配を帯びた風が、はらりとひるがえす。
3.祭という名の絆
思いがけず名前を呼ばれて振り返る。
市内で提灯工房を営む日野さんの声だ。
祭というアクセスポイントを軸にして、伝統や文化とともに街の人々が繋がりあっている。
屋台と共鳴するように揺らめく光を目の前にして、心にもあかりがともる。
4.紫陽花の花言葉
腰をおろして、ひとときの休息を楽しむ人の輪の中から、ふと祭唄が湧きおこる。
紫陽花の「和気藹々」「家族」という花言葉がぴったりの、ぬくもりあふれる雰囲気に街が包まれる。
太鼓の鼓動と鉦の響きを体じゅうに浴びながら、2つの屋台の演舞に心を奪われていく。
来年も、今日と同じ空気を胸いっぱいにすいこんでみたい。
スケジュール帳の2025年立夏の時期の空白に、早くも予定を書き込みたくなる。
今回取材にご協力いただきました吉原三本松屋台さん、本町1丁目屋台さん、ありがとうございました!