紡ぐ・繋ぐ1.5世紀 〜飯岡小学校150周年行事〜
オニギリ 2024年12月11日
今日の行き先は母校
1.夕暮れの太鼓
今年のお祭りも足早に駆け抜け、日没が早くなったある日の夕暮れ時、ふとメッセージが届く。
「太鼓の音、聞こえることない?」
飯岡小学校の150周年記念行事の、太鼓台運行に向けての練習だそうだ。
1世紀余りの歴史を誇る高欄幕に身を包んだ“野口太鼓台”が目指す先は、さらに長い歴史を誇る小学校。
12月に母校で再会する太鼓台。心が躍らないはずがない。
2.母校へと続く交差点
“ 今日の行く先は母校 ” という人々も多い師走の初日。
「先生、オレのこと分かる?」
太鼓台が通る道沿いの家から手を振る年配の男性に、お子さんの手を引く青年が応える。
ランドセルを背負って「おはよう」と出会い、「また明日ね」と分かれた交差点に、三体の太鼓台が集結した。
3.太鼓台との集団登校
冬にはイルミネーション、春にはパステルカラーのチューリップで彩られる畑を横に見ながら、校舎へと続く坂を下る。
今日の集団登校は、太鼓台と一緒だ。
思い出とともに、精一杯の汗と涙がしみこんだ運動場から空に向かって、高々と太鼓台が差し上げられる。
壁に刻まれた校訓のように、子どもと共に大人も、キラキラとした少年少女の目になる。
学び舎の天高く胴上げされた太鼓台と手の間から、青い宙が見えた。
4.紡ぐ・繋ぐ
150年の長きにわたって、今もなお歴史を紡ぐ校舎に、人々の思いを繋ぐ太鼓の音。
秋よりも早く、大きく傾きかけた太陽を追いかけながら、母校に背を向ける。
あとに続く数百メートルにも及ぶ人々の列に後姿を見送られながら、威風堂々たる帰洛である。
今回取材にご協力いただきました野口太鼓台の皆様、ありがとうございました!
5.さいごに
一月ほど前の秋祭りに、珍しい形の太鼓台の運行に参加した。
伊予三島の川原町さんの太鼓台は、四国で唯一と言われる「おわん型」。
太鼓のリズムは西条市と似通った部分が多いが、掛け声や担き方などは個性的かつエネルギッシュ。
西条のお祭りの数日後、早くも来年が恋しくなる自分にとって、刺激的な出会いとなった。