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イタリアの劇場で歌う!西条から世界へ羽ばたいたオペラ歌手

昨年開催されたサッカーワールドカップ。西条出身の長友選手も活躍し世界中が熱狂しました。
さて、サッカーの入場の時によく聞く「凱旋行進曲」。この曲がオペラ「アイーダ」の劇中曲なのは知っていましたか?
「アイーダ」「魔笛」「カルメン」「蝶々夫人」。オペラの題名だけではピンとこない人も、その曲を聞くと「聞いたことがある!」となるものが多いんです。

オペラは日本では歌劇と訳されるように、セリフではなく歌を中心として物語が進んでいきます。ドラマチックな脚本、舞台セット、衣装、オーケストラの生演奏など沢山の見どころがありますが、なんといっても一番はマイクを使わず広い会場の隅々までその声を響かせるオペラ歌手

今回、オペラ発祥の地イタリア在住、世界で活躍する西条出身のオペラ歌手 後田 翔平さんを取材させていただきました!
水泳少年だった後田さん。西条東中学校で合唱と出会い、西条から夢のイタリアの舞台に立つまでのストーリーと歌を愛する学生の皆さんへのメッセージをお届けします。

クロアチア国立劇場での公演の様子

 

1.歌との出会いは「あんたちょっと来なさい!」

2022年クリスマスイヴに東京で開催されたベートヴェンの第九コンサートに合わせてイタリアから帰国した後田さん。約5年ぶりに西条に里帰りした後田さんと中学校時代の恩師 礒 恒子先生にインタビューしました。

編集担当:今日はありがとうございます!後田さんと吉田一貴さんのYouTubeチャンネル「リリカ兄弟」拝見しました!ちなみにリリカってどういう意味なんですか?

後田さん:オペラはイタリア語で“オペラ・リリカ”というのでそこからとっています。

編集担当:そうなんですね!イタリアでの公演の動画、画面越しでもすごい迫力でした。

編集担当:公演会場のまちの紹介や一般人は見られない練習風景、舞台の裏側もあって、私もオペラ歌手になって旅行しているみたいでとても面白かったです!後田さんは子供の頃から歌の英才教育を受けてた。とかなんですか?

後田さん:全然違います(笑)子どもの頃は水泳をしてて、西条東中学校でも水泳部に所属してたんですよ。ある日、自転車置き場の前で音楽の担当だった礒先生に「あんたちょっと来なさい!」って呼び止められて。「合唱部の男声が足りない」と女子部員にも囲まれて、あれよあれよと入部届けに名前を書いて助っ人部員として歌うことになったんです。

礒先生 :音楽の授業で、ええ声しとる!と思っててスカウトしちゃいました。

後田さん:周りに褒められたのもあって楽しくて、どんどん合唱にはまっていきましたね。

礒先生 :本当にいい声で。リーダーシップもあるので、中学3年生の時なんか、同級生3人組で保育園や商店街へ自分たちで行って歌ったりもしてたんですよ。

後田さん:中学3年生の時は、礒先生の指揮で2回も合唱の全国大会に出場しました。NHKホールでも歌ったんですよ。ステージから見る客席の景色が別世界で魅了されました。

礒先生 :しかも後田くんのソロパートがある曲だったんですよ。

編集担当:NHKホールって紅白歌合戦の会場ですよね。スゴイ!

 

2.「音大にいけ!」

西条高校でも合唱部に入部した後田さん。音大を志したのはなんと高校3年生の6月だったそうです。

後田さん:音大なんて全く考えてなかったんです。でも、当時、西条高校の合唱部の顧問だった永井 紀夫先生に「お前は音大にいけ!」と言われて。

一念発起した後田さん。音大受験に向けて猛練習を開始します。

後田さん:声楽専攻には歌だけじゃなくて、ピアノの実技試験があって。それまでピアノなんて習ったことなかったんですが、市内でピアノ教室をしている原田 紀美子先生のおかげで、半年でベートーヴェンのピアノ曲が弾けるようになり、受験に臨みました。

編集担当:そして見事、東京音楽大学の声楽専攻に合格されたんですね!

礒先生 :しかも、特待生で入学したんですよ。

編集担当:え、すごすぎますね!

後田さんが音大進学を決めた時、礒先生も応援してくれたそう。

3.イタリアの劇場に立ちたい!

音大に入学した後田さん。そこで音大独特のカルチャーショックをうけます。

後田さん:先輩にちょっと歌ってみてって言われて歌うじゃないですか。そしたら、「君の声はボエームのロドルフォとかあってそうだね」って言われるんですよ」

ぼえーむ??ろどるふぉ??脳内はハテナが飛び交う中、「なにそれ?」とは言えなかった後田さん。笑顔でその場を乗り切り、すぐさま図書館で検索。オペラ「ボエーム」の詩人「ロドルフォ」役であることを突き止め、DVDを観たそうです。

後田さん:学食での友達との雑談もやっぱり音楽関係の話が多いので、知識がないと会話にならなくて。

音楽の知識をつけるため沢山のDVDを見る中で運命の出会いを果たします。

後田さん:イタリアの馬蹄形の歌劇場で歌うオペラ歌手の姿に魅了されたんです。

自分もこんなイタリアの劇場で歌いたい!後田さんが世界に羽ばたくオペラ歌手を志した瞬間でした。

イタリア モデナ市立歌劇場。中世ヨーロッパが舞台の映画に出てきそうな馬蹄形の歌劇場。

 

4.突然の降板宣告。人生のどん底から再び掴み取ったイタリアの舞台

大学卒業後、日本イタリア協会のイタリア声楽コンコルソ第1位ミラノ大賞受賞による奨学金や、さわかみオペラ芸術振興団体のイタリア留学助成金奨学生として、2014年イタリア北部のまちパルマのパルマ国立音楽院に入学し、イタリアへ渡ります。
当時、イタリア語はチャオ!しか喋れなかったという後田さん。単身イタリアへ行くことに不安はなかったのでしょうか。

後田さん:まわりは心配してくれる声もあったんですが、僕自身は不安はなかったですね。イタリアのまちで生活して、憧れの歌劇場でオペラ歌手として歌っている。そんな自分の未来の姿を思い描いていました。

パルマを拠点に劇場のオーディションを受けまくった後田さん。約1年後、パルマ王立歌劇場の主役に合格。ついに夢の舞台!と思った矢先、公演2週間前に突然降板を言い渡されてしまします。

後田さん:様々な要因があったんですが、人生で一番凹みました。トラウマになりましたね。

そんなトラウマも乗り越え、再びイタリアの歌劇場オーディションを受ける日々を続けた後田さん。
さらに1年後の2017年1月。その姿はイタリアのモデナ市立劇場の舞台の上にありました。オペラ「ジャンニ・スキッキ」の「リヌッチョ」役。人生のどん底から再び掴み取った夢のイタリア馬蹄形劇場の舞台でのデビューでした。

イタリア モデナ市立劇場でデビューをはたした後田さん

現在もイタリアを拠点に、イタリア各地はもちろん、世界各国でオペラ歌手として活躍されています。

 

5.後田さんからの学生の皆さんへ

オペラ、ミュージカル、オーケストラ、日本には色々な音楽があふれています。そのクオリティも様々ですが、まずは実際に聞いて、本物に触れてほしいです。2023年は、西条で僕の歌もお届けしたいと思っています。
西条は歌の文化が根付いているまちです。学校の合唱部以外にも市内にはいくつも合唱団があります。もし、音楽が好きだな。歌いたいなと思ったら、知り合いが誰もいなくても、勇気を出して1歩踏み出してみてください。礒先生をはじめ、西条の地で歌でつながる仲間が皆さんを喜んで迎えてくれます!
そして、近い将来、西条のまちで僕と一緒に歌い、歌をキーワードにどんどん西条を盛り上げていきましょう!

後田さんのオペラを聞いてみたいと思ったあなた!2023年1月14日、15日に日本での公演へ緊急出演が決定しました!
関西(兵庫・奈良)での公演なので西条市からは少し遠いですが、イタリアと比べるとすぐそこです。
是非、世界で活躍する本物の歌声に触れてみてください。
詳細はこちらから公演HPへ

 

リリカ兄弟(後田翔平さん・吉田一貴さん)のYouTubeチャンネル
一緒にイタリアで旅行しているかのような動画は必見!

後田 翔平さんTwitter
最新情報はこちらから

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