【突撃取材】ピノ・ガールが起こすスイカ革命!食のフロンティア西条農業高校!
LOVE SAIJO 編集部 2022年7月26日
夏の果物といえばスイカ!(正確には果物ではなく野菜ですが、そこはご勘弁を)
縁側でスイカを食べながらタネ飛ばし対決をした人も多いんじゃないかなと思います。
でも、このタネがなかなかの厄介者ですよね。
スイカは美味しいんだけど、タネをのけるのが面倒くさい。
ガリっといっちゃったときのテンション↓↓↓( ´^`° )
そしてもう1つの問題が、あのサイズ。
冷やして食べたいんだけど、丸ごと冷蔵庫に入れるには大きすぎる!
そんなタネとサイズ問題でスイカの購入をためらっていた皆さんに素晴らしいお知らせがあります!
2020年スイカ業界に革命がおこりました。
そう、タネまで食べられる小玉スイカ「ピノ・ガール(ナント種苗)」が誕生したのです!
今回、この「ピノ・ガール」を育てている西条農業高校を取材しました。
1.それは偶然の出会い
LOVE SAIJOファンクラブでは、ファンクラブ会員である高校生たちの頑張る姿をSNSで発信しています。
あれは2022年4月。西条農業高校への電話で対応してくれた別府和則先生から、西条農業高校がJAえひめ未来の広報誌で記事を連載していることを聞いたのです。
早速読んだ4月号の記事で見つけたのが、「タネまで食べられる小玉スイカ(ピノ・ガール)」という1文。
「すいか ピノ・ガール」ですぐにGoogle検索をしたことは言うまでもありません。
「普通のスイカのタネの1/4サイズ」
「タネの存在を感じない」
「たまに噛んでもチョコチップのよう」
もうあの有名なスイカ味のアイスバーしか思い浮かびません。
これは、食べてみた過ぎる!
この夏は地元の直産市場を巡ってスイカを探そうと心に誓ったのでした。
そんな誓いから数日後、別件で西条農業高校にお電話した際の担当が再び別府先生だったのです。
相談も早々に切り上げ、ピノ・ガールの販売場所を教えてもらおうと思っていると、なんと、西条農業高校で育てているピノ・ガールを取材させてもらえるという嬉しいお言葉。
思わず職場で小躍りしながら、3か月後、7月の取材を予定表に書き込みました。
2.奇跡的な雨上がり
とても楽しみにしていた取材当日。朝起きて一番に聞こえたのは土砂降りの大雨の音。
取材の間だけでいいから晴れてくれ!と思っていると、雨がやみました。
晴れ間はないけど、ここ数日で一番暑くなく、外での農作業日和!
わくわくしながら、西条農業高校に向かいました。
3.食農科学科2年生野菜班はとっても元気!
今回、取材させてもらったのは、食農科学科2年生 野菜班の授業。
続々と農場に集まってくる生徒の皆さんが元気に挨拶してくれるので、初対面でドキドキしていた取材担当も少しほっこり。
ピノ・ガールだけでなく、トマト、ミニトマトの収穫も見せてもらえるとのこと!
まずは、トマトのビニールハウスに向かいました。
4. トマトの収穫もお手の物
ビニールハウスに1歩入ると、もうそこはサウナ。
暖房を入れているわけではないのに、こんなに暑いとは!
今日が曇りで本当に良かった。
まず収穫するのは、「ホーム桃太郎(タキイ種苗)」という品種の大玉トマト。
タネから育てはじめ、今日まで成長記録と収穫、お手入れを続けてきたということで、みんなとっても手際が良い!
収穫した大玉トマトは、持って帰ってお家で食べるそう。
いいな~と思いながら眺めていると、1個いりますか?と天使の声が!
ビッグサイズをお持ち帰りさせていただきました♪
皮がしっかりしていて、甘くておいしかったです!さすが西農生が丹精込めて育てたお野菜!!
大玉トマトの奥には、色々な品種のミニトマトも栽培されていました。
そこで別府先生から教えていただいたのが、「ぷるるん」という品種のミニトマト。
あのKAGOMEさんが開発した品種で、皮が薄くてその名の通りぷるんっとした食感にびっくりです。
なんとトマトは、日本の品種だけで200種類以上。
世界中では10,000種類以上もあって、色・形・大きさもいろいろなのだそう。
これからは、品種にも注目してトマトを買わねばですね!
5. 完熟の甘さがスゴイ
次に収穫に入ったのは、ミニトマトのハウス。「サンチュリープレミアム(トキタ種苗)」という品種です。
こちらは、西条の市場にも出荷しているそうです。
「いっぱい食べていいですよ。」という別府先生の神の声が。
もぎたてミニトマトの食べ放題状態にテンションは爆上げです。
普段スーパーで買うミニトマトと比べてとっても味が濃い!そして、2~3個に1個の割合でめちゃくちゃ甘い子に遭遇!
実は、スーパーに並ぶミニトマトは、完熟前の黄色い段階で収穫&出荷されるそうです。
完熟後のミニトマトは、収穫後5日くらいしか日持ちしないのですが、完熟前に収穫することで2週間くらい日持ちさせることができるそう。
収穫後も色はどんどん赤くなっていくので、スーパーに並ぶ頃には真っ赤になりますが、味は黄色いときのまま。
なので、完熟してから収穫したトマトとは味の濃さが異なるそうです。
全然知らなった!!
取材担当者がミニトマトを食べている間も、西農生のみんなはどんどん収穫していきます。
しかも、スーパーで売られているミニトマトのように、しっかり緑色の“ヘタ”がついています。
真っ赤な実にヘタの緑色が映えて見た目にも美しいですよね!
てっきりハサミで切ってるのかと思いきや、ヘタのすぐ上の節目(離層(りそう)と呼ぶそう)を押さえると、ぽろっと綺麗に外れるんです!
これも全然知らなかった!
外れた実が地面に落ちれば、動物たちも食べやすいですよね。
実の中にはタネが入っているので、落ちたトマトを食べた動物が離れた場所でフンをすれば、そこにもトマトが生えてくる。
植物はそうやって世界中に広がっていったそうです。植物の生存戦略、恐るべし!
とか思っていると、別府先生からさらにスゴイ話が!
なんと、ケチャップやトマトジュースなど加工品に使われるトマトはヘタがない方が使いやすいため、逆に離層ができないように品種改良されているのだそう。
そうすることで、専用の収穫機で茎から丸ごと刈り取り、茎や枝ごとヘタも取り除けて、真っ赤なトマトだけを収穫でき、省人力化できちゃうという仕組み。
トマトもすごいけど、人間も負けてない!
とっても身近なトマト1つにもこんなに奥深い植物の世界と人間の努力があったとは!改めて感動!!
6.ついにピノ・ガールとご対面!
いよいよスイカのハウス。「ピノ・ガール」と対面です!
西条農業高校では、スイカのツルを上にはわせ、立体的に栽培することで狭い面積でもたくさんの苗を育てているそう。
今年はとても暑かったので、スイカも早く熟したそうです。
「果実が熟すと役目を終えたツルは枯れてしまうからちょっと写真映えはしないね」と別府先生はおっしゃいますが、実があれば十分です!!
収穫しながら生徒の皆さんと話してたのが、「このスイカ、見た目より重い!」
別府先生曰く、この重さこそが、中身が詰まった良いスイカの証拠!
スイカは叩いたときの音で美味しいものが分かるとも言いますが、重さで見分けるのも分かりやすくて良いですね!
7. もう、普通のスイカに戻れない!
ついに、スイカ入刀の時間となりました。
みんなが見守るなか、別府先生がスイカへ包丁を入れるとパキっと小気味良い音を立てて皮が割れます。
思わず、「おぉ」というどよめきが。
皆様、ご覧ください。この美しい断面を!
ふちの白い部分がとっても少なくて、ほとんど赤いおいしい部分です!
そして、よく見ると、白い筋で3つの部屋に分かれて、その中にタネがはいっているんです。
これは、3つに分かれた雌しべ全てにきちんと受粉できて成長した証拠だと別府先生。
もし、きちんと受粉しないとタネができず、周りの果実も成長しないので、綺麗な丸いスイカにはならず、歪んだ形になってしまうとのこと。
つまり、丸いスイカは丁寧に受粉作業を行った証で、西条農業高校でも1つ1つ手作業で受粉作業を行ったと聞き、努力の証を実感!
贅沢なスイカの輪切りも登場!
白い筋で綺麗に割れて、ハートの形もお目見えです!
ちなみに、この3つに分かれた“ハートの形”の部屋のことを“子房”と呼ぶと別府先生。
タネ=“子”が入る部屋=“室”と言われると、一発で覚えちゃいました!
よくスーパーで売られているスイカは縦切りですが、なんで今日は横に切ったんだろう?と思ってたんですが、タネと果実の成長や“子房”の関係を観察するには、横向きがピッタリ!
切り方1つ変えるだけで、スイカの新しい世界に触れられたことに感動です!
そしていよいよ、待ちに待った試食タイム!
みんなスイカにかぶりつきます!
うまい!あまい!そこら中から聞こえる美味しいの声!
取材担当も輪切りにかぶりつきました!
めっちゃ美味しい!
輪切りにかぶりついた一人から、緑の皮もパリパリでいいアクセントになると聞いて食べてみたんですが、確かになんかキュウリっぽくて悪くない!
(先生には美味しくないからやめときなさいと言われました(笑))
タネは全然気にならず、気づかないうちに食べてしまっていた模様です。
タネを気にしなくていいからいくらでもかぶりつける!
わたし、もう、普通のスイカには戻れない!!
8. ありがとう西条農業高校
人が生きる上で欠かせないがゆえに、新しい品種、新しい育て方、新しい加工方法など、進化が止まらない「食」の分野。
西条農業高校は、新しい品種の栽培に挑戦していく、「食」のフロンティア(最前線)でした!
授業のテーマは、“不思議・発見・探究”だと別府先生。
とても身近なトマトやスイカでも、見方を変えたり、切り方を変えることで、不思議を発見し、今まで知らなかった植物、人間のすごさを知ることができました!
教科書で学ぶだけではなく、学んだことを使って実際に野菜を育て、自分自身で食べることで、さらに新たな発見がある。
野菜を育てる中で愛着が湧き、植物を育てることの難しさを知ることは命の尊さを知ることにもつながる。
今回の取材は、西条農業高校 食農科学科のキャッチコピー「食と農を学び、心を耕す」を体感できた1日でした!
さて、我々がもう一度高校生になるのは難しいですが、西条農業高校では、年に数回アンテナショップが開催されたり、今年の11月には産業祭の開催も予定されています!
一般の人も、野菜や苗、加工品を買える機会なので、開催お知らせを見つけたら、是非行ってみてください!
今回私がピノ・ガールに出会ってしまったように、あなたにも新しい発見が絶対あるはず!
産業祭の情報も入手次第、お知らせしますので、お楽しみに~!
今回取材した「ピノ・ガール」も先日西条農業高校で開催されたアンテナショップで販売したそう。
アンテナショップでは買えなかったけど、食べてみたい!という方は、地元の直産市場を捜索してみてください!
出会えたあなたも、「もう、普通のスイカには戻れなくなっちゃう」はず!
西条農業高校HP
https://ehm-saijo-ah.esnet.ed.jp/