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目指すは新時代の鍛冶屋! 妻と歩んだ「ロートアイアン職人」への道

好きなことや夢だったことをやり続けるのは、とても難しいことだと思いませんか?私たちは大人になるにつれ、さまざまな壁にぶつかり、それらを諦めてしまいがちだからです。
しかし、どんなにしんどくても、いくら周りの人に反対されても、「好きなこと」を諦めなかった強い夫婦がいました。それがこの春、ロートアイアン工房「雅iron-works(マサアイアンワークス)」を開業した、越智雅英(おちまさひで)さんと妻の純子さんです。お二人に開業までの道のりとこれからの夢についてお話を伺いました。

 

#1 ロートアイアンとの出会い

ロートアイアンとは、「鍛鉄」・「錬鉄」という意味を持ち、味わい深い質感と温もりを併せ持つ、職人が自由な発想で製作できる鉄の工芸品です。元々はヨーロッパで発展し、建築装飾として用いられてきました。
越智雅英さんは、大学卒業後、市内の溶接関係の企業に勤めていました。
妻の純子さんは内装関係の仕事をしており、結婚後もそれぞれが別の仕事で生計を立てていました。
ロートアイアンと先に出会ったのは純子さん。仕事でたまたま見つけた際、直感的に「これは主人に合うかも」と感じ、「こんな面白そうなのがあるよ。やってみたらどう?」と、雅英さんに薦めたそうです。
「鉄に関しては、趣味で簡単な家具を作ったり、仕事で溶接したりしていただけでした。鉄って、硬くて冷たいイメージがあるじゃないですか。」
西条市は豊かな自然と水に恵まれたまちですが、ロートアイアンの技術が普及しているわけはありません。教えを乞う人もいないので、雅英さんは書籍やインターネットで情報を集めながら、独学で製作方法を勉強し始めます。ところが雅英さんは、ハンマーを振るううちに意外な発見をしたそうです。

「鉄を叩くと、叩く前には想像もしてなかった表情が出てきて、しかも、どんな形にもできる。
『これは、たまらないな』と思いました」

 

#2 妻の応援、寝る間を惜しんで叩く

鉄が見せる様々な表情や温もりなど、すっかりその魅力に取りつかれた雅英さんは、サラリーマンを続けながら休みの日には鉄を叩き続けるという、「二足のわらじ生活」を始めます。最初は趣味による製作が中心でしたが、口コミでどんどん噂が広がり、「店舗の看板を作ってほしい」、「玄関の階段に手すりを付けてほしい」など色々な注文を受けるようになります。
雅英さんは、これまでのサラリーマン生活とは違い、お客様と直接顔を合わせ、声を聞くことができる「商い」にささやかな幸せを感じるようになりました。
「せっかく注文してくれた人を待たせられないですし、喜んでくれる顔を見てしまったら、もう止められないですよ。」
気が付くと、雅英さんの生活は一変していました。平日の夜と土日、仕事以外の時間はほとんど鉄を叩いて過ごすようになっていました。当然、そんな生活を送っていては身体への負担は大きくなります。
「寝る間を惜しんでやってました。身体は本当にきつかったです。それでも頑張れたのは、好きなことだったし、妻が背中を押してくれてましたから。」
雅英さんがロートアイアンを頑張れた理由は「好きなことだった」というのはもちろんですが、純子さんの応援も大きな原動力になったようです。

 

#3 周囲は反対。“それでもなお”

雅英さんが作った製品は周りからの評判も良く、やがて夫婦の間で「ロートアイアンで本格的に生計を立てたい」という想いが強くなってきました。しかし、そんな二人に対する周りの反応は、ある種、冷ややかだったそうです。このまちの人には、大工や創作家具はイメージできても、ロートアイアンはまだまだ認知度が低いマイナーなものだったからです。
「『鉄で食べていくってどういうこと?』とか『趣味でとどめておけばいいのに』と言われました。もちろん私たちのことを心配して言ってくれているんですが」と純子さん。
「10人に相談したら9人に『止めとけ』と言われました。正直なところ、僕ひとりだったら気持ちが折れていたかもしれないです。けど『後押し』って力になるじゃないですか。一緒にいた妻が常に行け行け!っていう感じで」と雅英さん。
どんなに周りに反対されても、それでもなお、純子さんは雅英さんの背中を押し続け、雅英さんは妻の想いに応えるべく、鉄を叩き続けたと言います。そこには、純子さんの決して折れない想いがありました。
「好きなことを生業にすることで、逆につらいこともたくさんありますが、私は彼に好きなことや得意なことを仕事にしてもらいたい、という思いがありました。彼は本当にロートアイアンが好きでしたし、きっとひとつのことに向き合って何かを作るスタイルがぴったり合うと思っていました。」

2018年春、諦めなかった二人の想いはようやく形になり、「雅iron-works(マサアイアンワークス)」が開業。二人がロートアイアンと出会って6年が経とうとしていました。

飲食店の看板や階段の手すりなど、越智さんの作品は多岐にわたる

 

#4 欲しいと言ってくれる人のため

好きなことを仕事に。

夢をかなえたばかりの二人に、今後の目標を聞いてみました。
「欲しいと言ってくれる人のために、これからも作り続けて、新しい時代の鍛冶屋として『鉄のぬくもり』をみんなに伝えていきたいです」と雅英さん。
「この場所はすごく広いから、コンテナを3つくらい置いて、木の作家さんとかガラスとかそれぞれ別のモノづくりをする人が集まる場所になったらいいな、とか考えてます」と純子さん。
「たくさん儲からなくても、自分らしく自由に働く『こあきない』」を体現する越智さん夫婦。

二人の目は、「モノづくりの第一人者」として壮大なビジョンを見据え、輝いていました。

 

 

#5 雅iron-works

「雅iron-works」はお客様からフルオーダーで受注するため、階段や手すり、棚、テーブル、表札や看板など、実に多種多様な製品を手掛けています。大量生産品に比べると製作に時間がかかりますが、二つとないオリジナルが出来上がります。

住所:〒799-1321 愛媛県西条市高田65-1
TEL:0898-66-5367
営業時間/9:00~17:30
フェイスブック
https://www.facebook.com/masa.ironworks/

インスタグラム
https://www.instagram.com/masa__iron_works/

私が書きました

Co-あきない宣言 編集部

Co-あきない宣言 編集部

Co-あきない宣言の編集担当です。 西条市では、市内で働き、輝いている市民をストーリー化して発信することで、西条市をPRしております!まだまだ不慣れですが、頑張ってシリーズを重ねてまいりますので、是非ご覧ください。

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