ひと足早い春 〜氷見のお雛様〜
オニギリ 2024年2月21日
西条市氷見の古民家では、早くもお雛様が飾りつけられ、訪れる人々の心を和ませています。
1.生きた教材は地域の財産
今回の取材では、近藤さんにご案内いただきました。
近藤さんは元教員で、地域の生きた教材として地域の子どもたちに見学の機会を提供しています。それ以外にも、お茶会やオカリナ教室など、地域とつながる行事が盛りだくさん。
3月9日頃からは、人力車の無料試乗体験も行うそうです。
2.伝統を守るボランティアの皆さん
入り口では、小松高校・丹原高校の生徒さんが、ボランティアで受付や資料配布をしていました。
お庭の花がきれいに咲いているよ、と案内してくださったのも地域のボランティアの方でした。広いお家やお庭は、お手入れをするのにも人手が必要です。様々な年齢層の人たちが手をとりあって、伝統を受け継いでいきます。風はまだ冷たかったですが、ここにだけ春が来たようでした。
3.お雛様に込められた願いや想い
今日訪れた民家のスケールの大きさには驚きましたが、その広い民家いっぱいに展示された雛壇の多さには、もっと驚ました。男性である筆者にとっては、お雛様を見る機会は今までにあまりなかったので、とても新鮮に感じられました。
様々な時代に作られた雛壇は、時代背景を映し出しているそうです。戦時中で世の中が大変だった時代と、経済が成長して国に勢いがあった時代では、使われている材質にはっきりと違いがありました。
しかし、どの時代にあっても、我が子を大切に思う気持ちは変わらないようです。人形はひとつひとつ、表情や持っているものなどに違いがありました。様々な表情の人形には「豊かな感情を持つ子に育ってほしい」という願い。箒などを持った人形には「嫁いでも掃除や家事を立派にこなせる子に育ってほしい」という願い。橙色の実をつける橘の木には「たくさん実がなる木のように、代々(橙)子孫が栄えるように」などの願いが込められているそうです。
4.歴史やお祭りとのつながり
お雛様といえば「五人囃子」というイメージがありますが、今日展示されていたお雛様は5人ではなく7人でした。この7人は、御殿で雅楽を奏でたそうです。
春には、お祭りでお馴染みの「御所車」に乗って、お花見に出かけたそうです。西条市とお祭りには切っても切れない関係がありますが「御殿前通り」「御所通り」「御所車」のような、西条市でお馴染みの地名などにも、歴史の深さを感じました。
5.日本中の文化が行き交う場所
今日、西条市の壬生川からお越しになったご夫婦の言葉が印象的でした。「この地域は昔から、石鎚山に登山をする人が日本全国から行き交っていました。この氷見は、日本中からの情報や文化が自然と集まる場所になったのでしょう。このお雛様をはじめとする文化や芸術の継承にも、その歴史の中で磨かれたこの地域の人々のお人柄がにじみ出ていると感じます。」
このご夫婦は、来年のこの時期に、再びこの場所に足を運ぶと決めているようです。
【住吉屋の雛飾り】
開催日:2/18(日)~4/21(日) 毎日曜日・第2土曜日
時間:10時~12時
場所:住吉屋(西条市氷見丙(上町)658番地)