地域の子どもたちは一度外へでてしまうかもしれない。でも『やっぱりここがいいなあ』と思ってもらいたい。
LOVE SAIJO 編集部 2018年3月27日
道前平野の南西部、西条市の町並みを一望できる高台にある田滝地区。
そこに、全校生徒13人の田滝小学校があります。
各地で小学校の統廃合が叫ばれる今日にあって、小規模学校の良さを活かしながら、これまで小学校を維持しています。
きっと、地域と学校が寄り添いながらまちづくりを続けてきたんだろう。地区の方に、話を聞きに行ってきました。
おじゃましたのは、小学校で行われていたPTAの会。この日は、地区の自治会長さんも参加されていました。
自治会長の佐伯さんは、この地区の「存続」を第一に考えています。地区の良さは外から受け入れ、歓迎する姿勢がこの地区の良さだといいます。
佐伯さんは田滝地区の出身ですが、18歳の頃、仕事のため大阪に出ていきました。大阪で参加した盆踊りを見たときに、故郷・田滝にあるお廉(れん)踊りに思いをはせました。
自分にとっての故郷があるように、自分の子どものことを考えると、子どもたちにも、故郷と思える場所があったらいいと思い帰郷を決意しました。
ご自身のお子さんが大きくなり、お孫さんのいる現在も、小学校と協力しながら、地区にいる子どもたちを見守っています。
田滝地区から若い人が減り、地区の存続に危機感を感じるようになった今でも、田滝の伝統行事の伝承や地区全体で子どもを見る姿勢は、他の地区にはない強みだと佐伯さんは話します。
また、田滝小学校の児童の保護者の方も言います。
「規模が大きくないからこそ、目の行き届いた教育を受けることができるんですよね」。
子どもの可能性は無限大。自分で自分の限界を決めることなく、イキイキのびのび教育を受けることができるのは、「地域のみんなで育てよう」という田滝の姿勢と田滝小学校だからこそ。
「ハッピープロジェクト」として、地区のお年寄りのお宅を訪問し、お誕生日をお祝いする活動や、盆踊り「お廉踊り」の伝承などにより、子どもと地域との絆は深く結ばれています。
「こんにちは」と言って地域の人の家に訪れても「どうぞ」と受け入れる姿勢はなかなかできるものではありません。
子どもたちも、地域の人とふれあうことが楽しいと話します。
「田滝の良さは?」と聞いたときに、自然に「地域の人たちが~」と子どもたちが話し始めることに、編集部、驚き。
田滝で育った子どもたちは、もしかしたら、一度外へでてしまうかもしれない。しかし、「やっぱりいいまちに住んでいたんだな、ここがいいなぁ」と思ってもらえることが大事であると地区の人は口を揃えます。
田滝で育つ子供たちは、地域のみんなのつながりで支えられています。